ゆんゆんぶっぱ

色々書きます

【小説】「恋する寄生虫」を読みました



なんだか久々に小説読みたいなぁと思って買いました。
本当は「君は月夜に光り輝く」を読みたかったんですが(難病物とか好き)、関連する商品にこれが表示されて気になったのでこちらを読むことに。

失業中の青年・高坂健吾と不登校の少女・佐薙ひじりの二人が、ある事から恋に落ちるがそれは体に宿る<虫>の仕業だった──というのが本作のあらすじ。
高坂健吾は潔癖症を、佐薙ひじりは視線恐怖症と二人とも強迫性障害を共通に患っております。
その二人が親密になり、恋に落ちるのは必然……と思わせて寄生虫である<虫>が二人を結びつけていたというお話。

最初は「ある日唐突に高坂が佐薙という少女の面倒を見る」という現実ではありえないみたいな始まり方でしたが、幾度も妄想した事のある展開でちょっとほんわかしたりしてました。
そこから仲良くなるのもまた王道といった感じ。
しかしそれが<虫>である事がもうわかっているので、もう中盤辺りからミステリーが最後まで漂っていました。
<虫>によって患者がどうなったか、二人が出した結論、そして更に明かされる真実……。
寄生虫の知識が全く無かった僕でも(なかったからこそ?)、佐薙が語る寄生虫の知識には結構興味深い話もあったり。
最後には完全に高坂に感情移入していて、佐薙の一挙一動に感情が囚われていました。

結末は綴られてませんが、この二人の物語は悲恋と言えるでしょう。
ただ、それで終わらせてはいけないような出来事や感情がこの物語には詰まっていました。
「恋する寄生虫」は物語に浸れる余韻と包まれる虚無感、とても良い作品だったと言えます。
伏線や気になる事がわかりやすいのも◎。

話は変わりますが、同じ作者が書いてる「スタンディングオーヴァー」のあらすじがどこかで見たような事あるなぁと思っていたら、まさかげんふうけいさんだったんですね。
2ch(現5ch)で書かれていたSSがこういった形で世に出てるとはしらなんだ……。
あの話、断片的に「クリスマス」「巻き戻る」「同じ人生を辿ってみる」みたいな形でしか覚えてなかったんですが、なるほどなぁ。
この方の書き方は水面に雫を垂らしているような綺麗かつ切ない描写があるので見入ってしまうんでよね。
とか言いながらそんな他の小説読んだ事ないんですが。


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というわけで気になっていた25日に発売していたうらら迷路帖6巻のついでに三日間の幸福も買いました!
こういう現実世界に独特な設定を入れ込む物語が好きなんで、同じ作者の小説で気になったのあったら買おうと思います。